日本語教育基盤情報センター 整備普及グループ
日本語教育データベースの構築多様な背景を持った日本語を母語(第一言語)としない人々や,その人々の言語教育・言語生活支援に関わる者にとって,基盤となる情報とは一体どんな情報でしょうか。言語に関するコトはもちろん,人やモノに関する情報までいろいろと考えられるかと思います。
整備普及グループでは,こうした状況を踏まえながら,関係者や関係機関の方々の需要に応じた言語教育支援や言語・情報サービスの基盤となるデータベース構築に向けて,関連した調査研究や整備普及の作業に携わっています。言い換えれば,この日本語教育データベースは,今後の日本語教育を支える言語データや資料となる「日本社会で日本人が使用する日本語の最新の実態情報」や「外国人が日本で生活するために日本語を学習する際の目標となる日本語に関する情報」を提供する際の基盤となるものです。
今後とも,所内の他の2部門(研究開発,情報資料),日本語教育基盤情報センター内の3つのグループ(用例用法,学習項目,評価基準),他の関連機関との連携を図りつつ,研究所に既に存在する日本語に関するデータや,所外のデータベース等から抽出した日本語教育研究の成果=日本語使用実態に関するデータ等を踏まえながら,日本語教育現場からの情報収集,整備普及活動を続けていきます。そして,例えば,地域で言語生活を営んでいる人々から得られた調査結果=日本語の使用例・誤用例や習得難易度などに関する情報や,会話場面,教室場面等の音声・映像データにより構成されるような日本語教育データベースを構築することを目指しています。なお,こうして整備された基盤情報は,日本語情報資料館と統合された日本語教育ネットワーク(J-net)から順次発信していく予定です。
日本語教育ネットワーク:http://www.kokken.go.jp/nihongo/
日本語教育基盤情報センター 用例用法グループ
日本語学習者のための日本語用例用法辞書の開発辞書は,外国語を学ぶ際になくてはならない道具です。しかし,辞書というものは,その言語を母語とする人の感覚に基づいて作られていることが多く,その言語を外国語として学ぶ人にとっては不便な点も少なくありません。いくつか例をあげましょう。
(1)よく使われる表現なのに辞書に載っていない。あるいは,その表現に関する説明が辞書のどこにあるか探しにくい。
例:「どうってことない」,「ここまで来たら」,「今日のところは」。
(2)日本語を母語とする人は説明がなくても分かっているが,日本語を母語としない人には説明がないと分からない。
例:相手の言うことを否定する表現でも,「とんでもないです」「そんなことありません」は謙遜表現として使えるが,「ちがいます」「そうではありません」は謙遜表現としては使えない。
(3)日本語を母語とする人には直感的に分かる説明だが,日本語を母語としない人には具体的な内容が分からない。
例:「○○のくだけた言い方」という説明だけでは,具体的にどのような場面で,どのような相手に対して使ってよい表現なのかが分からない。
用例用法グループでは,これらの問題を少しでも解決し,日本語を学ぶ人たちにとって使いやすく,それぞれの表現の使い方がより具体的に分かる「日本語学習者のための日本語辞書」のモデル作成を研究の目標としています。
日本語教育基盤情報センター 学習項目グループ
日本語教育における学習項目一覧と段階的目標基準の開発外国人が日本社会の一員として地域社会に根付き,職場や学校等で活躍するために身につけるべき日本語能力とは何でしょうか。日本人と同じように読んだり話したりできる能力でしょうか。
学習項目グループでは,今後ますます外国人の受け入れが進み,長期にわたって日本で生活する人が増えることを念頭に,この問いに答えるための調査研究を行っていきます。 まず,日本で生活する上で必要となる日本語(生活者にとって必要な日本語)について,日本語の使用実態,学習者及び学習者を取り巻く人々双方のニーズ,日本語力の向上と日本語使用状況の関係等をもとにとらえなおします。この中では,「書くこと」も生活者にとって必要かつ有効な手段と考え,調査の対象とします。同時に,日本語におけるコミュニケーション能力がどういった枠組みと構成要素で成り立つのかを検討していきます。
私たちは,以上の調査研究を進め,日本語教育における学習項目の一覧と段階的目標基準を開発します。そして,その結果を,日本語教育機関や関係者の方々に,教育内容の選定・カリキュラムの作成・教材開発・試験開発を行う上で活用していただけるような形で提供することを目指します。
調査研究事業 「日本語教育における学習項目一覧と段階的目標基準の開発」について
日本語教育基盤情報センター 評価基準グループ
日本語能力の評価基準・項目の開発日本語を勉強している外国の人(以下,「学習者」と呼びます)が話したり書いたりする日本語は,当然のことながら日本人の日本語とは違っています。しかし,ひとくちに「日本人とは違っている」とはいっても,そのために意味がまったくわからなくなってしまうこともあれば,違っていてもコミュニケーション上何の問題にもならない,ということもあります。また,学習者の「ちょっと変わった日本語」に接したとき,「自分の日本語とは違うが,これはこれで受け入れよう」と思う日本人がいる一方で,「外国人も正しい日本語を使えるはず。『外国人だから変でもいい』というのはかえって失礼だ」と思う日本人もいるでしょう。さらに,「日本人以上に日本語がうまくなりたい」と思っている学習者もいれば,「自分に必要なレベルの日本語だけを,あまり苦労せずに身に付けたい」と考えている学習者もいます。
「評価基準グループ」は,このような複雑な事情の中で,外国人の日本語の「評価」はどうあるべきかについて,さまざまな角度から研究を進めます。具体的には,
学習者の言語能力を評価する立場の人々が,学習者の立場や学習目的,学習レベルなどに合わせて最も適切な評価方法を選択したり,あるいは自ら適切な評価方法を作成したりするための方法論を提案する
ということを目指します。またこの目標のため,以下のような事業や調査研究を行います。
(1)さまざまな目的を持つ学習者の日本語データ(話しことば・書きことば)を収集し,公開する。
(2)従来の言語能力評価・言語テスト等に関する調査研究を概観する。
(3)日本人が学習者の日本語に接するとき,どのような点に着目するのか,どのような点を重視して評価を行うのか,その「評価意識」のどの程度の幅があるのか,等についての調査を行う。
(4)学習者は,どういう種類の日本語を,どの程度身に付けたいと考えているのかを調査する。また,学習者が置かれている状況と,学習者の「日本語学習ニーズ」との関係について調査する。
評価基準グループwebページ:http://www2.kokken.go.jp/eag/





